脳老化に伴う変異ミトコンドリアDNA蓄積と精神疾患における役割

加藤 忠史

脳神経科学研究センター(CBS)
精神疾患動態研究チーム
チームリーダー

mail:tadafumi.kato(at)riken.jp
Kato

分化した神経細胞においては、核DNAは複製されない一方、ミトコンドリアDNA(mtDNA)は絶えず複製されているため、いったん変異mtDNAが生成されると、排除されないまま神経細胞に蓄積されていく。そのため、脳は加齢に伴うミトコンドリア機能障害に対して特に脆弱であり、ミトコンドリアDNA蓄積に伴うミトコンドリア機能障害は、老化に伴う精神疾患に関与すると考えられる。我々は、変異ポリメラーゼγ(mPolg)トランスジェニック(Tg)マウスを作成し、これが自発的な抑うつエピソードを反復性に示すことを見出した。このマウスでは、mtDNA欠失(ΔmtDNA)は、視床室傍核(PVT)およびその他の情動関連脳領域に蓄積していた。今後、老化に伴うmtDNA蓄積の性質と脳部位による差異を次世代シーケンサーを用いて詳細に明らかにすると共に、mtDNA変異蓄積がクロマチン制御に影響し細胞病態を引き起こすメカニズムをミトコンドリア―核相互作用の観点から検討する。さらに、部位特異的な脳老化促進のメカニズムにおける酸化ストレスの役割を検討し、局所的脳老化に伴う精神疾患の治療法・介入法につなげる。

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